お役立ちコラム

持ち家と賃貸どっちがお得?
メリット・デメリットや生涯コストを比較

これからの住まいを選択する際、多くの方が一度は「持ち家と賃貸のどちらにすれば良いか」という悩みに直面します。持ち家と賃貸のどちらが自分の人生設計にあっているのか、トータルでかかる費用はどちらがお得なのか、といったさまざまな視点で考える必要があり、何を基準に決めたら良いのかわからなくなることもあるでしょう。

そこで本記事では、持ち家と賃貸のそれぞれが持つメリットとデメリットを解説し、どのような方に向いているかをご紹介します。生涯かかるコストについても触れますので、これから家づくりを始める方はぜひ参考にしてください。

【1】持ち家のメリット・デメリット・向いている人

「持ち家」とは、自分で購入したり建てたりして所有する住宅のことを指します。具体的にはハウスメーカーなどの建築会社に依頼して建てる注文住宅のほか、建売住宅や新築・中古マンションの購入などが挙げられます。

ここでは、持ち家を所有することによるメリットとデメリットを見ていきましょう。

1-1.持ち家のメリット

持ち家を所有するメリットは、大きく分けて以下の3つです。

自分の資産になる

住宅ローン完済後の持ち家は完全に所有者の資産となり、所有者の権利の範囲で自由に活用できるという点が大きなメリットです。土地や建物といった不動産は特に資産価値が高いものとみなされ、融資を受けるための担保にすることも可能です。
また、周辺地域の開発により土地の価格が上昇するケースもあるため、売却して得た利益を運用したり老後資金にしたりと、さまざまな活用方法が期待できます。

住宅ローンを完済すれば経済的負担が減る

持ち家を購入する際には住宅ローンの融資を受けるのが一般的です。返済期間中は賃貸物件の場合と同様、毎月一定額を支払い続ける必要があります。しかし、ローン完済後は毎月の返済負担がなくなり、住居費としては固定資産税や建物のメンテナンス・修繕費用がかかる程度で、家計の不安を大幅に軽減できるでしょう。

団信加入によって生命保険代わりになる

住宅ローンを組む際、ほとんどの場合で団体信用生命保険(団信)への加入が必須とされています。団信は一般的に万が一債務者が死亡したり高度障害になったりした場合に、住宅ローン残債の支払いが免除されるというものです。ローン契約と合わせて団信に加入しておくことで、契約者に万が一のことが起きた場合でも、契約者の家族は返済負担を負うことなく自宅に住み続けることが可能です。

1-2.持ち家のデメリット

一方持ち家を所有することで、下記のようなデメリットがある点には注意しなければなりません。

住み替えが容易ではない

ライフスタイルや仕事の変化に合わせた住み替えが可能な賃貸とは異なり、住み替えのために手間や費用がかかるという点は持ち家のデメリットの一つです。

住み替えのために自宅を売却したり、第三者に賃貸物件として貸し出したりする方法もありますが、立地条件や住宅ローンの残債によってはスムーズに売却を進められない可能性も考えられるでしょう。

家のメンテナンスに費用や手間がかかる

持ち家で長く安全に暮らすためには、定期的なメンテナンスや必要に応じて補修・設備交換を行わなければなりません。特に戸建住宅の場合は、室内のメンテナンスだけで足りる分譲マンションなどとは異なり、建物全体の修繕も必要です。建物の経年劣化を遅らせたり、耐久性・耐震性を維持したりするためにも、持ち家を所有する場合はメンテナンスにかかる費用も考慮しましょう。

固定資産税の支払いがある

不動産の所有者には固定資産税という税金を納める義務があり、所有し続ける限り毎年納税しなければなりません。固定資産税額は所有する不動産の価値によって異なりますが、毎年おおよそ10万~15万円程度かかるのが一般的です。賃貸ではかからない費用であるほか、決して安くない金額のため、しっかり把握しておかなければなりません。

1-3.持ち家に向いている人

転勤や移住の予定がなく老後も同じ場所で暮らしたい方は、持ち家を選択することで安定した生活を手に入れられます。また、不動産を所有し続けるには住宅ローンを滞りなく返済し続ける必要があるため、収入が安定していて貯蓄に不安がない方は比較的持ち家を検討しやすいでしょう。

その他、賃貸物件ではできないDIYやリフォームを楽しめるため、自分の好きな内装にアレンジしたい方にとっても持ち家が向いているといえます。

【2】賃貸のメリット・デメリット・向いている人

居住用物件のオーナーに、毎月決められた家賃を支払って物件を借りるのが「賃貸」です。一般的にイメージされるのはマンションやアパートですが、一戸建てが貸し出されているケースもあります。

持ち家を所有せず賃貸で暮らし続けることにも、メリットとデメリットの両方があるためしっかりと把握しておきましょう。

2-1.賃貸のメリット

賃貸のメリットは主に下記の3つです。1つずつ解説していきます。

住み替えがしやすい

住み替えの際にさまざまな障壁がある持ち家に対し、賃貸の場合はライフステージの変化に合わせた住み替えが容易という点が大きなメリットです。結婚や転職、子どもの進学・独立といった生活環境や家族構成の変化により、住まいに求めることや必要な面積・住みやすい地域も変化します。また、賃貸であれば収入に合わせて家賃を調整することも可能です。

家のメンテナンス・修繕が不要

通常、建物の修繕やメンテナンスは所有者の責任と費用負担で行います。賃貸の場合は入居者が部屋や建物のメンテナンス費用を負担する必要はなく、退去時のクリーニング費用程度の出費で抑えられます。建物の維持管理に費用がかかる持ち家と比較してまとまった出費が少ないため、突発的に高額な支払いが発生して頭を抱えるという心配はないでしょう。

固定資産税の支払いが不要

固定資産税は不動産の所有者が納める税金です。賃貸の場合は賃借人ではなく賃貸人が所有者にあたるため、賃借人は固定資産税を納める必要はありません。年間10万~15万円程度の固定資産税の支払いがない点はメリットの一つと言えます。

2-2.賃貸のデメリット

賃貸は手軽さが魅力である反面、下記のようなデメリットもあるということも知っておかなければなりません。

いくら家賃を払っても資産にならない

賃貸は家賃をいくら払ったとしても、不動産が賃借人の資産になることはありません。手元に資産が残らないことで、将来的に金銭面での不安が残ってしまう可能性があります。一方、持ち家の場合の毎月の支払い額は住宅ローンの返済に充てられるもので、自己資産に対する意義のある支払いです。将来的に売却して利益を得るなど、活用の幅も広げられるでしょう。

老後まで住み続けられるとは限らない

賃貸で暮らし続けることの大きなリスクの一つとして、老後の住まいを確保するのが難しい点が挙げられます。高齢になってから賃貸物件を探そうとすると、年金生活で収入が十分でない・安定していないことや、保証人をつけられないなどの理由から、入居を断られるケースも少なくありません。年齢を重ねるごとに入居審査が厳しくなる点には注意が必要です。

間取りや設備を自分好みに変えられない

賃貸物件の場合は基本的に内装・設備が整った状態で入居するもので、一般的に借主の好みや判断で変更することはできません。たとえ設備が古くなったり内装に飽きてしまったりした場合でも、貸主が承諾しない限りはそのままの状態です。

生活するうえで必要な設備が故障した場合の修理・交換を除き、借主が手を加えることはできないことが多いため、DIY好きな方は事前に確認しておきましょう。

2-3.賃貸に向いている人

賃貸のメリットとデメリットを考慮すると、収入が安定しない方や貯蓄することに自信がない方、借金をすることに抵抗がある方などは持ち家よりも賃貸のほうが向いています。また、転勤が多い方や住み替えが好きな方も、気軽に住まいを変えられるという点で賃貸がおすすめです。

【3】持ち家と賃貸、どっちがお得?

持ち家を購入するか賃貸に住み続けるかを選ぶ際に、将来的にどれほどの費用の差が発生するかを知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。

ここでは4,000万円の注文住宅を返済期間35年の住宅ローン(全期間固定金利1.4%・年収700万円)で購入して50年間住み続けた場合と、賃貸マンションに50年間居住し続けた場合を比較します。

持ち家(注文住宅)

【住宅ローンの毎月返済額】
借入額4,000万円÷35年÷12ヶ月=約9万5,000円

【初期費用】
頭金0円+諸費用160万円(物件価格の4%と想定)
=160万円

【固定資産税・都市計画税】
毎年約10万円×50年=500万円

【その他のランニングコスト】
保険料50万円+修繕費1,000万円=1,050万円

【住宅ローン控除】
13年間で271万円想定*1

【トータルコスト】
4,000万円+160万円+500万円+1,050万円-271万円
=約5,439万円

賃貸マンション
(引越し3回を想定)

毎月の家賃(管理費込)9万9,000円の場合

【初期費用】
敷金・礼金・仲介手数料=家賃の3ヶ月分×3回
=89万1,000円

【50年間の家賃】
9万9,000円×12ヶ月×50年=5,940万円

【更新料(2年ごとに家賃の1ヶ月分)】
9万9,000円×24回=237万6,000円

【火災保険料(2年ごとに1回)】
5万円×24回=120万円

【トータルコスト】
=89万1,000円+5,940万円+237万6,000円+120万円
=約6,386万円

*1イーローン「住宅ローンの控除(減税)シミュレーション」による

上の表のようにトータルでかかる費用を比較した場合、生涯コストは約1,000万円の差で持ち家のほうが安くなります。

持ち家の場合はランニングコストが多く賃貸よりも出費がかさむイメージですが、その分、住宅ローン控除をはじめとした優遇制度が多数揃っています。税金の優遇制度を活用することで賃貸マンションよりも生涯コストを下げながら、安定した生活を送れるでしょう。

その他、収入やライフスタイルなどによってもどちらが良いか変わるため、理想の暮らしに求める優先順位の高さに合わせて選ぶことが大切です。

【4】自身のライフプランや暮らしに求める条件に合わせて選択しよう

持ち家と賃貸にはそれぞれ異なるメリットとデメリットがあり、収入やライフスタイルなど、さまざまな観点で考える必要があります。必要に応じて客観的な視点からアドバイスを受けることで自分に合った住まいの形を知ることができるでしょう。

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