お役立ちコラム
住宅ローンの借入目安とは?
年収別でわかる借入可能額や返済方法
マイホームを建てるには高額な費用がかかるため、多くの方は住宅ローンを利用して購入します。しかし、住宅ローンをどの程度借りられるのか、そもそも融資の審査に通るのかがわからず、マイホーム購入に踏み出せない方もいるのではないでしょうか。
本記事では家づくりを検討中の方に向けて、年収別にわかる住宅ローンの借入目安や借入可能額の計算方法、借入額を増やす方法、無理なく住宅ローンを返済するポイントなどについて解説します。マイホームの購入にあたって予算決めや具体的な資金計画を立てる際にぜひお役立てください。
【1】住宅ローンの借入額の考え方
住宅金融支援機構が公表している2022年度の「フラット35利用者調査」を参考に、住宅ローンに関するデータを物件種別ごとにまとめました。
物件種別 | 世帯年収の平均額(万円) | 頭金(自己資金)の平均額(万円) | 住宅ローンの借入額(融資金額)の平均額(万円) | 年収倍率の平均(倍) |
---|---|---|---|---|
注文住宅 | 602.2 | 596.6 | 2,874.4 | 6.8 |
土地付注文住宅 | 639.3 | 412.3 | 3,840.6 | 7.5 |
建売住宅 | 563.1 | 270.0 | 3,120.9 | 7.0 |
マンション | 788.2 | 785.9 | 3,562.2 | 7.2 |
中古戸建 | 507.8 | 214.9 | 2,255.7 | 5.7 |
中古マンション | 608.2 | 418.9 | 2,473.7 | 5.8 |
年収倍率を見てわかるように、住宅を購入する費用は高額です。以下では「年収」「月収」「現在の家賃」の3つの観点から、住宅ローンの借入額を検討するポイントについて解説します。
1-1.年収で考える
「フラット35利用者調査」で年収倍率が公表されていることからわかるように、住宅ローンの借入額は年収を基準に決まるのが一般的です。年収倍率や、年収に対して住宅ローン返済額が占める割合の返済負担率をもとに設定されます。
1-2.月収で考える
年収以外に、月収も住宅ローンの借入額の基準になります。月収で考えるときは、ボーナスなどの臨時収入を含みません。その分、借入額が控えめに算出され、無理のない返済計画を立てられるでしょう。ボーナスが入ったときに多少の余裕が生まれるため、無理なく住宅ローンを組みたい場合は月収を基準に考えると良いでしょう。
1-3.現在の家賃で考える
現時点で賃貸物件に住んでいる場合は、支払っている家賃も借入額の基準になります。毎月の返済額が現在の家賃を超えなければ、無理なく住宅ローンを返済していける可能性が高くなります。ただし、マイホームを購入した場合は賃貸と異なり、固定資産税の支払いや金利変動などのリスクがあるので注意しましょう。
【2】借入可能額の算出方法
銀行などの金融機関で審査を受けて借入額を知る前に、自分でもおおよその借入可能額を計算することが可能です。審査基準となっている年収や返済負担率を用いて計算してみましょう。借入可能額は、以下の式で算出できます。
借入可能額=年収×返済負担率÷12か月÷(審査金利で100万円借りた場合の返済月額)×100万円
「年収×返済負担率」は年間返済額にあたり、返済負担率は一般的に25~35%です。また、審査金利は3~4%で設定されることが多いですが、金融機関によって異なります。借入金利と同等に設定する金融機関も少なくないため、今回は審査金利1%で100万円借りた場合の35年返済で返済月額は2,827円とします。
例えば、世帯年収が700万円で返済負担率が25%のときの住宅ローンの借入可能額は、「700万円×25%÷12か月÷2,827円×100万円」で約5,158万円です。返済負担率が35%のときの住宅ローンの借入可能額は、「700万円×35%÷12か月÷2,827円×100万円」で約7,222万円となり、返済負担率によって借入額が大きく異なることがわかります。
ほかに返済中のローンがあれば、年間返済額から引いて計算しましょう。マイカーローンとして年間30万円返済している場合、返済負担率が25%のときの借入限度額は「(700万円×25%-30万円)÷12か月÷2,827円×100万円」で約4,274万円となります。
【3】[年収別] 住宅ローンの借入目安
前述した2022年度の「フラット35利用者調査」を見ると、住宅ローンの借入目安は年収の約7倍とわかります。年収の7倍を借入額の目安として、毎月返済額や総返済額を以下に示しました。
年収(万円) | 借入額目安(万円) | 毎月返済額(万円) | 総返済額(万円) |
---|---|---|---|
500 | 3,500 | 11.5 | 4,795 |
600 | 4,200 | 13.7 | 5,754 |
700 | 4,900 | 16 | 6,713 |
800 | 5,600 | 18.3 | 7,672 |
900 | 6,300 | 20.6 | 8,631 |
1,000 | 7,000 | 22.9 | 9,589 |
※シミュレーション:【フラット35】借入希望金額から返済額を計算
返済期間は35年でボーナス返済なし、金利は「新機構団信付きの【フラット35】等の借入金利水準(2023年10月)」をもとに1.9%を適用しています。
住宅ローン借入額は、無理なく返済できる範囲で設定しましょう。毎月の返済額が多い、または少ないと感じる場合は、借入額や返済期間などで調整してみてください。
上の表で年収700万円の場合、借入目安は4,900万円となっていますが、毎月16万円支払い続けるのが苦しいと考えるのであれば、借入額を4,000万円に減らすことで毎月の返済額は13.1万円になり、3万円程度減らすことが可能です。借入額を減らした分は、マイホームの計画を見直して対応すると良いでしょう。
【4】借入額を増やす方法
理想のマイホームのイメージが固まっていても、希望した借入額が認められずに理想どおりに建てられない可能性があります。できるだけマイホームの計画を変更しなくて済むように、以下で紹介する方法で借入額を増やせないか検討しましょう。
4-1.収入合算する
住宅ローンの審査では年収が重視されます。審査対象となる年収は夫婦や親子などで収入合算でき、一人で住宅ローンを組むより借入額を増やせる可能性があります。
収入合算できる対象者の条件や合算できる金額は金融機関によって変わり、対象者の年齢や年収など細かい部分まで条件が決められている場合があるため、審査の際に金融機関に問い合わせておきましょう。
4-2.返済中のほかのローンを完済する
返済中のほかのローンがある場合は、完済できるものがないか確認しましょう。先述のとおり、カードローンやマイカーローンなどの返済が残っていると、全体の返済負担率が上がって住宅ローンの借入額が下がる可能性があります。完済することで希望する住宅ローンの借入額に近づけられるかもしれないので、返済できるものは事前に済ませておきましょう。
金融機関は審査の際に個人信用情報を確認するため、虚偽の報告はNGです。すぐにバレてしまい、審査に影響する可能性があるためほかの借入がある場合は正直に申告しましょう。
4-3.返済負担率を高くする
返済負担率は金融機関によって異なりますが、基本的に25~35%程度です。基準を超えない範囲で返済負担率を高めれば、借入額を引き上げられます。ただし、借入額を引き上げると、その分毎月の返済額は増えてしまいます。
返済負担率を高くする方法は、親からの援助を受けられる場合や頭金以外にも貯金が多くある場合など、資金に余裕がある方に向けた借入額引き上げ方法といえるでしょう。
【5】住宅ローンを無理なく返済するためのポイント
住宅ローンを組む際、30~35年など長期の返済計画をもとに返済し続けるのが一般的です。仕事の都合など今後のライフスタイルの変化によって、完済できるか不安になる方も少なくないでしょう。住宅ローンを無理なく返済しながら長く住み続けられるように、以下で3つのポイントを解説します。
5-1.頭金を多めに出す
頭金の割合を増やすことで、借入額を減らして毎月の返済額の負担を少なくできます。金融機関の審査では「借入額が少ない人ほど、スムーズに返済できる可能性が高い」と考えるため、住宅ローンの審査にも有利に働くでしょう。
5-2.返済期間を長く設定する
月々の返済負担を抑えたい場合は、返済期間を長く設定しましょう。借入額を変えずに返済期間が長くなれば、その分毎月の返済額を少なくすることが可能です。ただし、定年付近の返済については注意が必要です。今は払える金額でも、役職定年を迎える、あるいは退職して年金のみで生活するといったタイミングで、多くの方は収入が下がります。先々まで予想して、返済期間を決めるようにしましょう。
5-3.ライフプランを考慮する
教育費や介護費、老後資金、子どもの結婚やマイホーム建築での資金援助、マイホームの修繕など、将来必要になる出費を想定しておきましょう。出費がかさむ期間は、返済に充てるお金を工面しにくくなります。将来的な出費のイメージをつかみにくいときは、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談すると良いでしょう。
【6】無理のない住宅ローンの借入がマイホームに長く住み続けられる秘訣
住宅ローンを借り入れるときは、年収や月収、現在の家賃などを参考にすると大体の借入目安がわかります。借入額を増やしたいときは収入合算や返済負担率アップなどを検討したうえで、ライフプランをイメージして無理なく支払い続けられるかを考えると、上手に住宅ローンを活用できるでしょう。
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