お役立ちコラム
【住宅取得支援策】
子育てエコホーム支援事業とは?
基礎知識を解説
住宅を新築したりリフォームしたりする際、補助金を活用すると費用負担を軽減できます。ただし、どのような住宅でも対象になるわけではなく、制度ごとに定められている条件を満たさなくてはなりません。
本記事では、新築にもリフォームにも活用できる「子育てエコホーム支援事業」の基礎知識を解説します。どの程度の補助が受けられるか気になる方や、制度を活用するためにはどうすれば良いのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
【1】住宅取得支援策の子育てエコホーム支援事業とは?
子育てエコホーム支援事業とは、自宅を新築またはリフォームする際に金銭的な補助を受けられる制度です。以下で、子育てエコホーム支援事業の実施目的や概要について解説します。
1-1.子育てエコホーム支援事業の目的
子育てエコホーム支援事業の目的は、省エネへの投資を促進し、2050年カーボンニュートラルの実現を図ることです。
そもそもカーボンニュートラルとは、温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにすることを指します。日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言し、そのためにさまざまな政策を打ち出しています。
子育てエコホーム支援事業は、住宅の取得や改築を支援すると同時に、未来の地球環境を守ることにもつながる制度だといえるでしょう。
1-2.子育てエコホーム支援事業の内容
子育てエコホーム支援事業を活用すると、条件を満たすことで注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入、または既存住宅をリフォームする際に補助を受けられます。類似の制度として2023年に実施された「こどもエコすまい支援事業」が予算上限に達し、受け付けが終了したことから、それを上回る大規模な予算が組まれました。
この補助事業は環境省・経済産業省・国土交通省の3省連携による住宅省エネ化支援事業の一環で、すでに終了した「こどもエコすまい支援事業」よりも予算額が上乗せされています。
【2】住宅取得支援策(子育てエコホーム支援事業)の補助対象
子育てエコホーム支援事業の補助を受けるには、まずどのようなケースが対象となるのかを知ることが大切です。ここでは、補助を受けるための条件について解説します。
2-1.対象者
子育てエコホーム支援事業の対象者は、新築(注文住宅の新築または新築分譲住宅の購入)とリフォームとで異なります。
- 新築:子育て世帯または若者夫婦世帯
- リフォーム:世帯要件はないものの、子育て世帯または若者夫婦世帯は補助額上限引き上げの特例がある
子育て世帯とは、2023年4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯のことです。2024年3月末までに着工する場合は、2022年4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯も含まれます。また若者夫婦世帯とは、2023年4月1日時点で夫婦のどちらかが39歳以下の世帯のことです。
2-2.対象住宅・工事の要件
新築の場合、対象となる住宅は「長期優良住宅」または「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅」です。延床面積が50㎡以上240㎡以下、立地が土砂災害特別警戒区域や災害危険区域ではないことが条件となります。リフォームの場合は、以下の工事が対象です。
- 開口部の断熱改修(内窓設置やドア交換など)
- 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置 (太陽熱利用システムや節水型トイレの設置など)
- 子育て対応改修(ビルトイン食器洗機や宅配ボックスの設置など)
- 防災性向上改修(ガラス交換など)
- バリアフリー改修(手すりの設置、段差解消など)
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入
リフォーム工事のうち、(1)(2)(3)のいずれかは必須で、工事の内容に応じて補助額が決まります。なお、工事全体の補助額が5万円以下の場合は補助の対象になりません。
2-3.対象期間
子育てエコホーム支援事業では、工事期間も条件に含まれます。対象となるのは、以下のスケジュールで行われる工事です。
- 新築:2023年11月2日以降に基礎工事よりも後の工程に着手する工事
- リフォーム:2023年11月2日以降に着工する工事
契約した時期ではなく、実際の工事がいつ行われたかがポイントになる点に注意しておきましょう。
2-4.補助額
注文住宅の新築、または新築分譲住宅の購入時に受けられる補助額の上限は、住宅の種類によって異なります。
- 長期優良住宅:100万円
- ZEH住宅:80万円
リフォームにおける補助額の上限は次のとおりです。
- 子育て世帯または若者夫婦世帯:60万円
- その他の世帯:30万円
【3】住宅取得支援策(子育てエコホーム支援事業)の申請期間
子育てエコホーム支援事業を利用するには、期間内に申請しなくてはなりません。申請できる期間は、「2024年3月中下旬から予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)」です。次の条件に当てはまる時点で申請が可能になります。
- 新築:補助額以上の工事が完了していること
- リフォーム:すべての工事が完了していること
新築一戸建ての場合は、基礎工事が完了した時点で交付申請を行えます。
また、交付申請の予約をすることで補助金を確保しておくことができます。予約できる期間は「2024年3月中下旬から予算上限に達するまで(遅くとも2024年11月30日まで)」です。ただし、予約をしただけでは実際に交付されません。必ず予約から3ヶ月以内(リフォームの場合は9ヶ月以内)に正式な申請手続きを行う必要があるため注意しましょう。
【4】住宅取得支援策(子育てエコホーム支援事業)の申請方法
子育てエコホーム支援事業では、住宅会社や工事会社といった事業者が「補助事業者」として登録を受けたうえで交付申請を行います。住宅の持ち主が申請の手続きを行うわけではなく、子育てエコホーム支援事業者として登録している建築事業者に問い合わせて進めることになります。プランを検討し、工事請負契約を締結した後は建築事業者に一任しましょう。補助金は事業者に交付され、値引きなどの形で住宅の持ち主に還元されます。
【5】住宅取得支援策(子育てエコホーム支援事業)の補助を受ける際の注意点
子育てエコホーム支援事業は、子どもがいる世帯や若者夫婦世帯には特に恩恵の大きい制度です。利用時に手間取らないよう、注意しておきたい点を解説します。
5-1.早めに申請を行う
交付申請はできるだけ早めに行うことをおすすめします。申し込みが殺到して予算の上限に達してしまうと、申請期間内であっても受け付けが終了してしまう可能性があるため注意が必要です。
2023年に実施された「こどもエコすまい支援事業」は、申請期限が2023年12月31日まででしたが、9月28日に予算上限に達したことで受け付けが終了しました。予算上限が近づくにつれて駆け込み申請が増える傾向にあるため、予約制度も活用しつつ、早めに申請しましょう。
5-2.補助金額が半分になる可能性がある
注文住宅の新築、または新築分譲住宅の購入時に受けられる補助額は、立地によって半額になってしまうことがあります。該当するのは、「市街化調整区域」かつ「土砂災害警戒区域または浸水想定区域」に立地している場合です。長期優良住宅は1戸あたり50万円、ZEH住宅は40万円に減額されます。対象区域の家かどうか、購入前に確認しておきましょう。
5-3.ほかの補助金制度と併用できないことがある
子育てエコホーム支援事業は、原則として国が行っているほかの補助制度とは併用できません。新築の場合に併用できる制度と併用できない制度は次のとおりです。
併用できるもの |
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併用できないもの |
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一方で、国費が充当されていない地方公共団体の補助制度は併用可能です。判断が難しい場合は、補助金の事務局に問い合わせて確認することをおすすめします。
子育てエコホーム支援事業を活用してお得に住まいづくりを始めよう
子育てエコホーム支援事業は、新しくマイホームを手に入れたい子育て世帯や若者夫婦世帯にとって魅力的な制度です。住まいづくりに取りかかる前に、補助の内容や要件をチェックしておきましょう。費用の面でお得になるのはもちろんのこと、カーボンニュートラルにも貢献できます。
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