お役立ちコラム

免震・耐震・制震の違いと特徴を解説!
それぞれの特徴やメリットとは

2024年1月の能登半島地震や2011年3月の東日本大震災など地震大国である日本。
家を建てるにあたって、地震への備えはしておきたいものですね。実は、建物における地震への構造上の備えとしては、「免震」「耐震」「制震」の3種類があります。この3つの言葉は知っていても、それぞれの違いについて詳しく知らないという方もいるかも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「免震」「耐震」「制震」の3つの構造上の違いや特徴、メリットやデメリットについてご紹介します。それぞれの違いを踏まえて、あなたの家にあった地震対策の参考にしてください。

【1】耐震とは

耐震とは、建物が地震の揺れに耐えられるように設計されている構造のことです。具体的には、建物の壁に筋交いを入れたり、部材の接合部を補強することによって、建物自体の強度を高め、地震による損傷を最小限に抑える技術です。このような耐震構造は、一戸建て住宅やマンション、オフィスビルなど、多種多様な建築物に適用されています。

1-1.耐震のメリット

耐震構造の最大のメリットは、コストが比較的低いことにあります。一般的な建築物に採用されやすく、耐震性能を向上させることが可能です。これにより、地震発生時の建物のダメージを軽減し、人命や資産の保護に貢献します。また、耐震設計の技術は進歩しており、日本の建築基準法においても耐震基準が設けられるなど、社会的な取り組みが強化されています。

1-2.耐震のデメリット

一方で、デメリットとして、大規模な地震によって建物に蓄積されるダメージに対して限界がある点が挙げられます。特に、長期間にわたる地震の継続や、予想を超える大きさの地震が発生した場合、建物が倒壊する可能性があります。そのため、耐震構造だけでなく、免震や制震といった他の地震対策と組み合わせることで、さらに高い安全性を確保することが重要となります。

【2】免震とは

免震とは、建物と地盤との間に免震装置を設置し、地震の際に地面からの直接的な揺れが建物に伝わるのを大幅に減少させる構造のことです。この技術により、建物自体が地震の揺れを感じにくくなり、地震によるダメージを最小限に抑えることが可能です。免震構造は、地盤と建物を物理的に「切り離す」ことで、まるで建物を宙に浮かせているかのような状態を作り出し、地震のエネルギーが直接建物へと伝わりにくくなります。

2-1.免震のメリット

免震構造の最大のメリットは、大きな地震が起こった際でも建物内の揺れを大幅に抑えることができ、内装や建物に設置された設備の損傷を最小限に抑えることができる点です。これにより、地震直後でも建物の使用を継続できる可能性が高まります。また、建物内の人々が感じる揺れを小さくすることで、怪我をするリスクも減少します。

2-2.免震のデメリット

免震構造のデメリットとしては、そのコストが挙げられます。免震装置の設置には高額な費用が必要となり、既存の建物に後から免震構造を導入することは技術的、費用的な面で困難が伴います。さらに、免震装置を設置するためのスペースが必要とされ、設計段階から免震構造を考慮する必要があります。

【3】制震とは

制震とは、地震の揺れを建物内部に組み込まれた制震装置を通じて効果的に吸収し、揺れを抑える技術です。主にダンパーなどの特殊装置を使い、地震エネルギーを熱エネルギーに変換することで、建物の動きを穏やかにし、揺れを減少させます。このような特性から、橋梁や高層ビル、文化財など、様々な建築物に採用されています。

3-1.制震のメリット

制震の最大のメリットは、地震の時に発生するエネルギーを効率よく吸収し、建物の揺れを大幅に低減させることができる点です。これにより、建物内部の人々や設備に与える影響を最小限に抑えることが可能になります。また、制震技術を導入することで、建物の耐震性を向上させることができ、長期的に見れば維持費の削減にもつながります。

3-2.制震のデメリット

一方でデメリットとしては、制震装置の設置には初期費用が高くなる場合があります。また、既存の建物に後から制震装置を取り付ける場合、建物の構造によっては設置が難しいケースもあります。さらに、制震装置自体の管理やメンテナンスにもコストと労力がかかり、これらを継続的に行う必要がある点も考慮する必要があります。

耐震・免震・制震の違いを理解し、各対策のメリットとデメリットを踏まえた上で、建物の用途や立地条件、予算などを考慮し適切な対策を選択することが重要です。

【4】それぞれの地震対策の比較

これまで免震・耐震・制震の違いやメリット・デメリットを解説してきました。ここではそれぞれの地震対策の比較を解説します。

4-1.建築上の制約比較

耐震構造、免震構造、制震構造は、それぞれ建築上の制約が異なります。耐震構造は、筋交いや部材の接合部の強化など、一般的な建築技術を用いて建物の強度を増し、地震時の揺れに耐えられるようにします。このため、新築時だけでなく、既存の建物に後付けで耐震補強を施すことが可能です。一方で、免震構造は建物と地盤とを切り離す技術であり、特に新築時にその構造を計画に組み込む必要があります。既存の建物に対して免震装置を後付けすることは技術的に困難であり、より大きな制約となります。制震構造も、ダンパーなど特殊な装置を建物内部に設置するため、建物の設計段階でその機能を考慮する必要があり、後からの導入は難しい場合が多いです。

4-2.コスト面の比較

コスト面では、耐震構造が最も低コストで実施できる方法です。これは、耐震構造が比較的従来からある技術を使用しているため、一般的な建築物に広く適用されており、コストも抑えやすいからです。対して免震構造は、建物と地盤とを切り離す高度な技術と専用の装置が必要であり、その設置コストは耐震構造に比べて高額になります。制震構造も、ダンパーなどの装置導入によるコストがかかるため、免震構造に近いか、それ以上の投資が必要とされることがあります。ただし、制震構造は耐震構造と組み合わせることが多く、そのバランスによってはコストを抑えることが可能です。

4-3.揺れを抑える能力の比較

地震による建物の揺れを抑える能力については、免震構造が最も優れています。免震構造では、地震の揺れが直接建物に伝わりにくくなるため、建物自体の揺れが非常に少なくなります。これにより、建物内部の損傷や、停電、機器の故障といった二次的な被害のリスクも低減されるため、非常に効果的な地震対策と言えます。制震構造は、ダンパーが揺れを吸収することで、免震構造には及ばないものの、揺れを有効に抑制できます。耐震構造では、建物自体が強いため大きな地震には耐えられますが、揺れ自体を減少させるわけではないため、内部の損傷や二次被害の可能性は残ります。

【5】まとめ

今回は、地震への備えには耐震、免震、制震のどれが良いのか、それぞれの特徴やメリット、デメリットについてまとめてご紹介しました。どの工法も地震への備えとして工夫された構造なので、地震対策をされる方は迷ってしまいますよね。そんな場合には、予算、住んでいる人の揺れへの感じ方、家の損傷の程度、地下室の要不要などによって、選択肢を絞っていくと、自分たちに合った地震に強い家づくりができるようになります。また、耐震+制震、耐震+免震などそれぞれの良さをうまく組み合わせると、バランスが良くなり、より地震に強く安心できる家ができます。そして、どの工法にするかも大切ですが、設計通りに不備なく施工してくれる住宅会社を探すこともとても重要なポイントになります。相性が良く、信頼できる住宅会社に出会えるよう、家サイトでリサーチすると良いでしょう。

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